アンモニウムイオンの分析は、水質検査や環境分析の中でも基礎となる重要な項目です。しかし、蒸留操作や発色反応など、初めて学ぶ方にとっては手順が多く、つまずきやすい部分もあります。
この記事では、アンモニアを取り出すための「蒸留法」と、取り出したアンモニウムイオンを測定する「インドフェノール青吸光光度法」について、初心者の方でも理解しやすいようにポイントを押さえて解説します。
分析の流れや注意点をしっかり押さえることで、正確な測定結果につながります。これからアンモニア分析を学ぶ方の参考になれば幸いです。
蒸留法(アンモニアを取り出す)
試料の適量採取
① 試料の適量とはNH4+の量がインドフェノール青吸光光度法の場合は40 μg以上です。

※他の定量法の適量について、中和滴定法:0.3 ~ 40 mg 、イオン電極法:40 μg以上、イオンクロマトグラフ法:20 μg以上です。

また残留塩素が存在する場合はアンモニアが酸化され正確に測定できないため、チオ硫酸ナトリウムの小結晶を入れて還元除去します。

pH調整
さらに試料が中性でない場合は以下の手順でpHを約7に合わせます。
① 試料にブロモチモールブルー溶液を5~7滴加えます。

※ブロモチモールブルー溶液はpH指示薬で酸性で黄色、中性で緑色、アルカリ性で青色に呈色します。
② pHが酸性の場合は水酸化ナトリウム溶液(40 g/L)、アルカリ性の場合は硫酸(1 + 35)を加えて中性(液色が緑色)に調整します。

蒸留装置の準備
① 前工程のpH調整液を蒸留フラスコに移し入れ、酸化マグネシウム(0.25 g)と沸騰石(粒径 2~3 mmを数個)、水を加えて約350 mlにします。


※ここで使用する水は、JIS K 0557 A3の水です。
② 蒸留装置を組み立て、受器の有栓形メスシリンダー(200 ml)には硫酸(25 mmol/L)を50 ml 入れます。

※中和滴定法で定量する場合は受器は三角フラスコ(500 ml)を使用し、硫酸(25 mmol/L)50 mlを正確に加え、メチルレッド-ブロモクレゾールグリーン混合溶液を2,3滴加えます。
蒸留操作
蒸留フラスコを加熱し、留出速度を5~7 mL/min に加熱温度を調整します。

逆流止めの先端は、常に受器の液面下(約15 mm)に保つようにします。

蒸留完了
① 受器の液量が約140 ml で蒸留を止めます。
② 冷却器と逆流止めを外し、冷却器の内側と逆流止めの内側と外側を水で洗浄する。洗浄した液は受器に合わせます。

③ 受器のメスシリンダー標線(200 ml )まで水を加えて蒸留が完了です。

インドフェノール青吸光光度法
アンモニウムイオンが次亜塩素酸イオンの存在下で、フェノールと反応して生じるインドフェノール青を吸光度で測定し、アンモニウムイオンを定量する方法です。
試料の適量採取
試料液(留出液)をNH4+の量として5~100 μgになるように25 ml以下で全量フラスコ(50 ml)にとり、約25 mlになるまで水を加えます。

※ここで使用する水は、JIS K 0557 A3の水です。
発色操作
① 採取した全量フラスコ(50 ml)にナトリウムフェノキシド溶液 10 mlを加えて振り混ぜます。

適当なビーカーに水酸化ナトリウム溶液(200 g/L)55 mlを採取し、フェノール 25 gを少量ずつ加え溶かします。

放冷後、アセトン 6 mlを加えて、水で200 mlにします。
ここでアセトンを投入する目的は、発色を強め感度を向上させるためです。

※ 調整した液は10℃以下の暗所で保存し、4日以内に使用すること。
② さらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 10 g/L)5 ml加え、水でメスアップした後に栓をして振り混ぜます。

③ 液温を20~25℃に保ち、約30分放置します。

※発色後、約30分は安定してるため、その間に吸光度の測定を終わらせます。
測定・定量
① 光度計の測定用セルに発色した試料を入れ、波長630 nm付近の吸光度を測定します。

② 検量線と吸光度の関係からアンモニウムイオン量を求め、試料中のアンモニウムイオン濃度( mg/L)を算出します。

また水25 mlで発色操作(空試験)を行い、試料の測定値を補正します。
※上記の結果からアンモニア態窒素濃度に換算する場合、アンモニウムイオン濃度に換算値0.7766を掛けます。
またアンモニア濃度に換算する場合は、0.9441を掛けます。
補足事項
重金属元素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムなどは、アルカリ性溶液で沈殿が生じ妨害となるため蒸留操作で分離する。
まとめ
今回は窒素分析の中のアンモニア分析について記事を書かせていただきました。
アンモニアを分析するに当たりアンモニアを他の成分(重金属元素など)から分離するための蒸留法を活用します。アンモニアと水の平衡関係を利用して弱アルカリ性(pH7.4以上)で定量的に取り出します。もし強アルカリで蒸留を行った場合、加水分解によって窒素を含む有機化合物も留出するため注意が必要です。
インドフェノール青吸光光度法では発色剤のナトリウムフェノキシド溶液は、使用時に調整することが望ましいが10℃以下の暗所で保存し4日以内に使いきりましょう。
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