小学校や中学校で、リトマス紙を使い酸性やアルカリ性を調べる実験をした経験はありませんか?
この酸性かアルカリ性かを数値で示したものがpHです。環境関連の仕事に携わっていると、必ず耳にすると思います。
今回はpHの数値の意味や環境との関係、測定について簡単に説明していきます。
pHとは?

基本定義
pHとは酸性度またはアルカリ度を示す数値です。一般的に0~14の範囲で表されます。
0に近いほど酸性、7が中性、14に近いほどアルカリ性を示します。
計算式
水素イオン濃度の対数を基に求められます。
pH1の場合:水素イオン濃度 0.1 mol/L = 10^-1 mol/L
pH7の場合:水素イオン濃度 0.0000001 mol/L = 10^-7 mol/L
pH14の場合:水素イオン濃度 0.00000000000001 mol/L = 10^-14
日常例
私たちの身近なところにも酸性やアルカリ性のものがあります。
味覚的感覚ですと、酸性のものは酸っぱく、アルカリ性のもの苦く感じられます。
pHと環境の関係
自然環境
湖や川のpHの変化が生態系に影響
人間でもpHが中性から極端に離れていると、触れると皮膚に深刻な損傷を与えますし、飲み込むと重篤な健康被害を引き起こします。生態系を保つことから湖や川のpH調査は欠かせません。

酸性雨の影響で土壌や植物に悪影響が及ぶことも
土壌のpHは作物の成長に直接影響します。適切な酸性度またはアルカリ度を維持することで収穫量を向上させられます。

水質管理
飲料水や工業用水での適切なpH維持の重要性
化学反応を最適化するためにpH調整は重要です。例えば、染色や紙の製造過程では適切なpH管理が求められます。

人体との関係
健康への影響
血液のpH維持(7.35~7.45程度)が健康に不可欠です。
味覚への影響
食品の酸性度やアルカリ度は味に影響を与えます。例えば、酸味の強いレモンやアルカリ性の重曹を利用した調理方法などです。
測定(ガラス電極法)
大まかなpH測定の仕組みは、特殊なガラス膜が水素イオンと反応すると電気(起電力mV)が発生するため、それを利用してpHを測定します。

pH計の構成
pH計は大きく分けて、電気を発生させるガラス電極と、発生した電気を比較するための電極(比較電極)から構成されています。

ガラス電極
特殊なガラス膜が先端に付いた電極です。電極の中には、pH7の液が入っており、サンプルと接触すると、ガラス膜と水素イオンの反応で電気が発生します。
比較電極
内部液として塩化カリウム溶液(KCl)が入った電極です。役割はガラス電極で発生した電気量と、比較電極で常に持ってる電気量の差(電圧)を調べるために必要です。また、電極の内部液が外に流出するために必要な液絡部(穴)があります。

測定手順
※測定の際、電極の内部液がサンプル液面より高い位置にし、内部液の補充口は開けて操作します。
校正操作
校正液(既知pH液)を用いて、基準となる電気量の差を測定器に記録する操作です。
測定操作
電極をサンプルに浸し、安定した値を読み取ります。この時、電極を掻き混ぜながら、計り取る方が均一になるため良い。
しかし私の経験上、電極の種類にもよりますが、攪拌しすぎるのも応答が遅くなることもあります。
まとめ
pHとは、酸性度またはアルカリ度を示す数値です。
また、環境面や健康面、工業面で広く使われております。
測定の原理は特殊なガラス膜をサンプルに接触することで、電気(起電力mV)が発生することを利用してます。
以上。
pH測定の勉強で反応による化学的要素、起電力の発生を利用する物理的要素があり、理系の教養がない私にとって、モチベーションが湧かず、苦痛でしかありませんでした。
これからpH測定について、勉強を始める方にざっくりなイメージがつき、この先の専用的な知識習得の手助けになれば光栄です。
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